【水を食べる……?】
上海に来たばかりことです。春節のある日、浦東に住む叔母さんの家へ遊びに行きました。生粋の老上海で気のいい叔母さんは、“好久不见了!来,请进,请进!吃水吧!”と出迎えてくれました。
水を食べなさいってどういうこと!?まさか中国人が外国人のように言い間違えることはないし、私が聞き間違えたのよと一度は流しました。しかし、息子のテンテンが食事の時にも“给你吃水吧!”、私にも再度“要不要吃水?”と聞いてくる叔母さん。水や飲み物は“喝水”でしょう!とツッコミを入れたくなるくらいの連発ぶりですが、まわりの親戚は誰も指摘しません。そこで、思い切って叔母さんに質問してみました。「叔母さん、水は“喝”じゃないの?叔母さんはいつも“吃”って言ってるけど。」そうすると叔母さんは、大声で笑いながらこう答えました。「あらあら、ごめんなさい。私はいつも上海語でしゃべっているから、久しぶりに普通話を話すとつい上海語の表現のまま普通話をしゃべっちゃうのよ!」
……ようやく謎が解けました。
【今日の上海語事情】
私の義母はため息まじりにこう言います。「今の上海と違い、昔の上海は、人ものんびりしていて水も空気もきれいだったのよ。それに上海人であればみな上海語をうまくしゃべっていたわ。上海は本当に変わってしまったわね。」
現在の上海市の流動人口は約2000万人。90年代の改革開放以降、他地域からの大量の人口流入という背景は上海という都市を大きく変化させてしまったようです。言葉の面でも、普通話の浸透が一層加速し、今日では学校でも家庭でも普通話(但し各家庭の言語環境によります)が使われ、上海語離れの傾向があります。現に私の主人は、上海語が聞き取れても、うまくしゃべることができません。
そして私はというと、現在上海語の勉強中!生粋の上海人の義母について学んでいますが、すでに普通話の発音に慣れてしまっている私には、中国語の方言というよりも別の外国語を習っているような気がします。上海語の発音は普通話とはまるで違い、中国でもよその人にはちんぷんかんぷんの言葉なのです。
上海語は上海人のアイデンティティー。もし上海を訪れる機会があれば、たとえ一言でも上海語にチャレンジしてみてください!(Gao)